食の大切さを今一度見直そう

食の大切さが忘れられてきてしまっている

日本が経済大国になって、約40年近く経ちます。

人々の生活は豊かになり、今では高度に成熟した消費社会といわれています。

物は豊富にあふれ、ほとんどの人が不自由することなく暮らしています。

このような豊かさは食についても同じです。

今から70年以上前の戦争が終わったばかりの頃は、

多くの人がその日の食べ物にすら困っていた貧食の時代でした。

それが高度経済成長期の頃から大量生産、大量消費の時代となり、

80年代頃からは飽食の時代、

そして現在では、食の目的や意味を忘れてしまった亡食の時代といわれています。

 

今では、食べたいものをいつでも、どこでも手軽に食べられる

とても豊かで便利な社会になっています。

しかし、その一方で飽食の時代に生まれ育った世代の人たちの中には、

「好きな時に好きなものを食べればいい」といった偏った食べ方をし、

身体だけでなく、精神にも影響がある亡食をする人々が増えてきています。

今の時代の豊かさや便利さの裏では、深刻な食の問題が浮かび上がってきています。

多くの人が食の大切さを忘れ、食べ物や食べ方を大切にしなくなってきてしまっています。

 

食生活の変化による栄養バランスの乱れ

かつて日本の食事は、ご飯と味噌汁、

そして主菜、副菜、副々菜という一汁三菜が一般的でした。

それが高度経済成長の時代を経て、

大量生産・大量消費の時代になるとインスタント食品が食卓に上るようになりました。

その後、レトルト食品や冷凍食品が登場します。

街にはファーストフード店やファミリーレストランが誕生し、

外食する機会も増えてきました。

 

同時に、輸入の自由化が進められ、

海外からの食材も手軽に国産品よりも安く手に入れられるようになってきました。

その結果、1960年には主食である米から

1日の消費エネルギーの半分近くをとっていたのに対し、

現在では主食の米からの消費エネルギーは全体の約4分の1に減り、

高脂肪、高タンパク、そして高カロリーな肉などの畜産物や油脂類の消費が大幅に増えています。

また、欧米のライフスタイルの影響で、パンやパスタなど、

小麦粉を使った食品の消費が増えたことも、

日本人の大切な主食である米の消費量が減ってしまった一因になっています。

 

これらの食生活の変化は、食事による栄養バランスにも大きく関係しています。

60年ごろのご飯とみそ汁、焼き魚、煮物、漬物といった典型的な一汁三菜のメニューでは、

炭水化物の摂取量が多くなっていました。

そして、70年ごろには、貧しい時代を脱して、肉などの畜産物が食卓に上る機会が増え、

少しずつ欧米風のメニューも増えていきます。

この頃が、平均的に栄養バランスがとれた食事の内容になっていました。

その後は、ファーストフードは一般的になり、手軽でおいしい加工食品も豊富になったのですが、

日本人の栄養バランスは崩れてきています。

これは、生活習慣病の増加にも結びついています。

 

ライフスタイルの変化が食事のあり方を変えてしまった

日本が先進国の仲間入りをし、経済成長を遂げるのと並行して、家族のあり方も変わってきました。

親子3世代が同じ家に住む大家族から、都市部で暮らす夫婦とその子供だけの核家族世帯が増え、

1980年には全世帯数の4割を占めるようになりました。

今では、核家族が一般的になり、都市部でなくても大家族を探すのが難しいくらいになっています。

そして、現在から将来に向けての傾向は、核家族は少しずつ減っていき、

夫婦のみの世帯や高齢者の一人暮らしを含む単独世帯が急激に増加していくと予測されています。

 

現在の慌ただしいライフスタイルの中では、

核家族の家庭でも、父親は朝早く出勤し、帰宅が遅かったり、子供は塾通いをしていたり、

働く女性も増えていますので、家族そろって食卓につくことが少なくなってきています。

親も子供も忙しい生活を送っており、1人で食事をとる孤食が増えてしまっています。

そのほかにも、同じ食卓にいながら家族がそれぞれ自分好みの違ったメニューを食べる個食や、

好き嫌いが多くていつも同じものばかり食べる固食、

パンやパスタなどの粉製品を主食として食べる粉食、

食事の量が少ない小食、味付けの濃い料理を好んで食べる濃食は、

心と体にとって大きな問題となっています。

 

今ではコンビニエンスストアでもスパーでも、

弁当や調理済みの惣菜、レトルト食品や冷凍食品など、

手軽でおいしい加工品がたくさん売られています。

また、ファーストフード店やファミリーレストランなどもありますので、

外食したり買ってきた方が忙しい主婦が家族全員の食事を手作りしたり管理するよりも

便利で合理的と言えるかもしれません。

ですが、食は、手軽で便利、おいしい、安いという点だけを考えればいいというわけにはいきません。

また、全ての食が安全、安心でヘルシーとはいいきれません。

私たちの健全な心と体を育む食の大切さを、きちんと理解することがとても大事なのです。

便利さや合理性ばかりを追求するあまり、食への関心が低下してしまうと、

生活習慣病の増加や子供の健全な成長(心身ともに)の妨げへとつながっていってしまうのです。